プロバイオティクスと脳の健康
最近の研究で、プロバイオティクスが年をとることで起こる認知機能の低下を防ぐかもしれないことがわかりました。この研究では、軽度認知障害のある人にLactobacillus rhamnosus GG(以下、「LGG乳酸菌」といいます。)というプロバイオティクスを与えたところ、認知能力が向上し、腸内細菌のバランスが変わることが確認されました。
この研究は、腸内細菌の変化が軽度認知障害のある人の認知機能を向上させる可能性があります。もしこの発見が確認されれば、腸内細菌に注目した新しい予防策が期待できるでしょう。
研究結果の概要
この研究結果は、腸内細菌を利用して高齢者の認知機能低下を減らす新しい方法の可能性を示しています。年をとることで起こる認知機能の低下を防ぐために、腸内細菌に注目したアプローチが今後ますます重要になるかもしれません。プロバイオティクスの摂取が、私たちの健康に大きな影響を与えることがわかりました。
- 軽度認知障害のある人にLGG乳酸菌を3か月間与えると、認知スコアが向上しました。
- プロバイオティクスを摂取した後の腸内細菌の変化が、認知機能の改善と関連していました。
- この研究は、腸内細菌を使って認知機能をサポートし、低下を防ぐ新しい可能性を示しています。
出典:アメリカ栄養学会
軽度認知障害に関する実験
この研究では、軽度の認知障害に注目しました。軽度の認知障害とは、記憶や言語、判断力に問題がある状態です。この段階での介入が、重度の認知症への進行を遅らせるかもしれません。実験には52歳から75歳までの169人が参加し、神経の問題があるかどうか、または軽度の認知障害があるかどうかで2つのグループに分けられました。そして、3か月間、LGG乳酸菌を含むプロバイオティクスかプラセボのどちらかを摂取しました。
研究の結果と今後の展望
LGG乳酸菌は、過去の研究で動物に良い効果があることが示されていました。研究者たちは、参加者の腸内細菌を調べるために遺伝子解析技術を使いました。軽度認知障害がある人には、プレボテラという細菌が多いことがわかりました。これは、腸内細菌のバランスを変えることで認知機能の低下を遅らせるための早期介入のチャンスを示しています。
軽度認知障害がある人でLGG乳酸菌を摂取したグループでは、腸内細菌のプレボテラの数が減りました。この変化は、認知スコアの改善と一致していました。つまり、腸内細菌を変えることで、高齢者の認知機能が改善できるかもしれません。
軽度認知障害に関連する腸内細菌の変化を特定できたことで、新しい予防方法が見つかりました。これが他の研究でも確認されれば、腸内細菌をターゲットにしたアプローチで認知機能が改善できるかもしれません。