「たん白加水分解物」という言葉を食品表示で見かけたことはありませんか?
一見難しそうな名前ですが、実はうま味やコクをつけるための食品原料の一つです。
この記事では、たん白加水分解物の原料・作り方・安全性・アレルギーの可能性・含まれる食品例まで、詳しく解説します。
たん白加水分解物とは?
たん白加水分解物は、動物や植物のたんぱく質を酵素や酸で分解し、うま味成分を多く含む液体または粉末にしたものです。
「加水分解」という言葉の通り、水を使ってたんぱく質を小さく切り分け、アミノ酸やペプチドに変えています。
原料の種類
たん白加水分解物に使われる主な原料は以下の通りです。
- 動物性原料:魚肉、豚肉、鶏肉、牛肉、ゼラチンなど
- 植物性原料:大豆、小麦、とうもろこし、米などの穀類や豆類
- 混合タイプ:動物性と植物性を組み合わせて風味を調整
原料によって風味や香りが異なり、肉系・魚系・野菜系のさまざまな料理に対応できます。
作り方の仕組み
- 原料のたんぱく質を抽出
- 酵素分解または酸分解でペプチド・アミノ酸に分解
- 濾過・濃縮して不要な成分を取り除く
- 乾燥(粉末化)または液体のまま使用
酸分解の場合、分解の過程で塩酸を使用することがあり、中和処理後に食用として利用されます。
含まれる食品例
- インスタントラーメンのスープ
- 即席味噌汁・鍋つゆ
- ソース、ドレッシング
- 加工肉(ソーセージ、ハム)
- 冷凍食品の味付け
うま味を強化し、味に深みやコクを与えるために多く使われています。
安全性について
食品安全委員会や国際的な食品添加物の基準では、たん白加水分解物は通常の摂取量であれば安全とされています。
ただし、酸分解の過程で副生成物として微量の3-MCPD(有害物質)が発生する場合があり、製造時の規制によって安全基準内に抑えられています。
アレルギーの可能性
- 大豆や小麦を原料とする場合、加工後もアレルゲン成分が残ることがあります。
- 食品表示義務のあるアレルゲンは、原材料欄に「(大豆)」「(小麦)」などと明記されます。
- アレルギー体質の方は表示をよく確認することが重要です。
たん白加水分解物とアミノ酸等の違い
- たん白加水分解物:原料由来のアミノ酸やペプチドが複合的に含まれ、自然なうま味
- アミノ酸等(グルタミン酸ナトリウムなど):特定のアミノ酸を化学的に精製した調味料で、ストレートなうま味
よくある質問(FAQ)
Q1. たん白加水分解物は体に悪いですか?
A. 通常量では問題ありませんが、塩分を含む場合もあり、摂りすぎは控えたほうが良いでしょう。
Q2. 添加物ですか?
A. 日本では「食品添加物」ではなく「食品扱い」ですが、製造工程は加工食品に近いです。
Q3. アレルギー持ちは食べられますか?
A. 原料にアレルゲンが含まれていないか食品表示を確認してください。
まとめ
- たん白加水分解物はたんぱく質を分解して作るうま味成分
- 原料は動物性・植物性どちらもあり、幅広い食品で使用
- 通常量は安全だが、アレルギーや塩分量には注意
- インスタント食品や加工食品の味を支える重要な素材
食品表示で見つけたときは、「これはうま味を出すための成分」と理解しておくと安心です。